山田ガーデン

花や葉から、種まきから球根から。心地よい庭を作り上げる喜び。庭作りから学ぼう。

華道家 假屋崎省吾の個展へ


ガーデンリフォーム会社に出勤した週末、一緒に働いているママさんから唐突に、こんな質問をされました。
「山田さん、假屋崎省吾どう思います?」
「えっ?あのカーリーのこと?好きですよ、すごい才能だなって思いますよ。」
「実は假屋崎省吾の展覧会があるんだけど...どうですか?一緒に行きません?」
「!@#$%&*>+</〜!!!」

その後の私のリアクションが期待通りだった、と彼女は嬉しそうにしてくれました。


私はほとんど何処へも出掛けません。ちょっとした日帰りも1年を通して数えるほど。庭にいる事が好きだから、に他ならないのだけれど、仕事もしているし、娘の学校への送迎もあるし、不登校の息子を置いて自分だけ遊びに出掛けるのも申し訳ない気持ちもあって、今年1年を振り返ると本当にどこにも出掛けることができずにいました。

假屋崎省吾。テレビでもお馴染みの華道家である彼(いや、彼女か?)の作品は豪華で力強い。ダイナミックに広がる大きな作品が彼(彼女かも)の得意とするところでしょうか。枝ものを赤く染めてアクセントに使うのも彼流で、見ればすぐに彼の作だと分かる。テレビでは控え目な感じだけれども、話し出すと明るく柔らかな口調から真面目さや芯の強さが垣間見えます。マツコ デラックスしかりIKKOしかり、性別を超えた中性的な人って魅力的だな、と感じることが多いのは私だけでしょうか。


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会場は栃木県宇都宮市の大谷町。ここは昔、採石場で栄えていた場所で、火山灰からできた軟らかで軽石のような石 "大谷石" が採れる所。加工がしやすく、火に強いのが特徴で、長方形に切り出して、多くは家の塀として使われてきました。しかし計画なく採石したことで地下のどこが空洞になっているのかが現在も判らず、今でもたまに小規模な陥没が起こったりもします。知っている人はあまり住みたがらない地域でもあります。


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会場の大谷資料館の地下へと階段を下りてゆきます。中の気温は4℃。地下は暖かいのか寒いのか想像できませんでしたが、ズバリ寒かったです。1年を通して平均7℃だそうで、昔は政府米の貯蔵場所でもありました。人工的な洞窟のような感じのする不思議な異空間です。


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初めて見る、假屋崎ワールド。地下の薄暗い空間に響き渡るのは、假屋崎さんらしき明るい声。グッズ販売を自ら行う假屋崎さんでした。61歳になられるというのに超元気です(笑)。


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角材と枝ものの強い色。どちらも彼らしい作品です。

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生花を使った作品は多くはありませんでしたが、牡丹と八重咲きトルコキキョウを使った淡い、優しい作品が目を引きました。


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假屋崎さんの個展のために、季節ではない花を開花調整して提供してくださる花卉農家さんがいらっしゃることに感謝、とスタッフさんがおっしゃっていました。


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闇の中にカリンの黄色が映えます。


假屋崎さんの明るい声とお客さんの笑い声が響く、アットホームな雰囲気の個展でした。切り花を飾るよりも植物を育てることの方が好きなのですが、最近はそのモチベーションが下がりつつあった私に、充分なパワーを与えてくれました。忙しそうにしている假屋崎さんと少しお話できたことも良かった。内容は伏せますが「貴女の人生なんだから、やりたいことやりなさいよ!」ってあの元気な口調で言ってもらえたことで、後ずさりしている自分に気付けました。明日からまた、頑張ろう。