いつも言っていますが、山田ガーデンは半日陰。午後には陽が当たらなくなります。太陽が大好きな、花を咲かせる植物には過酷な庭なのです。
そこでちょっと視点を変えて。地面に陽が当たらないなら、他のどこに当たっているのか?それは地面ではなく敷地をぐるりと取り囲む外構フェンスです!もちろん道路側!
つまり外構フェンスに植物を這わせれば、花が咲く植物も育てられることに気付きました。
"這わせる" ということは、伸びる植物でないといけません。迷わずつるバラを迎え入れることにしました。が、ここからが悩むところ。楽しくも苦しい品種の絞りこみです(笑)。
まず、山田ガーデンの外構フェンスは幅の広い板が並んでいるタイプなので、非常に誘引がしにくい。板の隙間から道路側へ枝を出すだけでも大変なことが想像できます。つまり、大輪の花が咲くつるバラは無理だということ。大輪の花が咲くバラは、基本的につるが太くなるからです。太いということは重さもあり、垂直な場所に誘引するには引っ掛けることができるものがたくさんなければ難しくなります。
しかもフェンスには高さがありません。太いつるがどんどん枝分かれしたら、フェンスの面積ではもて余してしまうでしょう。
この時点でコルデス ジュビリーや、つるデンティ ベス、カクテルなどは却下。中輪または小輪の花が咲くバラに絞られました。
次に花色です。
這わせたいフェンスの位置から、春の庭を思い出してみます。そこから見える景色はどんな色だったかな…
■つるバラ 新雪の白
■シャンテ ロゼ ミサトの紫がかったピンク
■ルイ14世のブラックレッド
■つるバラ バレリーナの白 × ピンク
■クレマチス マダム ジュリア コレボンの赤紫
この色合いに上手く溶け混む色を探します。
とても好きだけれど、クレマチスの色と馴染まない、つるオレンジマザーズデイは却下。
ローブリッター、コロコロでかわいいけれど、バレリーナのピンク色と被るので却下。春にしか咲かない一季咲きなのも引っかかる…
消去法で残ったのは3品種。ローラ アシュレイとパルフェ タムール、ポール アルフ。全て素朴な一重咲きです。
ローラ アシュレイは中心の黄色がかわいい。残念なことに調べた時にはどこのショップにも取り扱いがありませんでした。
ポール アルフ、オレンジイエローを帯びたクリーム色は庭にぴったり合うけれど、4~5mも伸びるみたいなので却下。せっかくの生命力をもて余してしまい、可哀想な育て方しかできない気がするから。
消去法で残ったのは、イギリスのバラ "パルフェ タムール" 。決まりました。
お正月からこんな風に好きなことで悩む時間がある、って本当に幸せなことです。
今回もあれこれ悩んで気付いたのは、私はバラの巻き巻きした花形には然程こだわりはないのだということ。バラは自分の好きな庭を作るためのメンバーのひとりであって、バラが主役の庭ではないのです。重要なのは庭全体のバランス。だから小輪バラや一重咲きも進んで選択します。素朴でかわいらしい雰囲気は、巻き巻きのバラにはない大きな魅力です。