山田ガーデン

花や葉から、種まきから球根から。心地よい庭を作り上げる喜び。庭作りから学ぼう。

一般的な朝顔ってなんだ?


私の子供たちは大きくなった。金髪の専門学校生と自由を謳歌している通信高校生。2人は自由に、毎日を楽しく過ごしています。振り返れば、縛りがきつかったのは小学校時代だったかも知れない。そんなことを思い出した出来事がありました。


朝顔のことで聞きたいことがある、とお客様がお待ちです。」
園芸売り場から電話で呼ばれ行ってみると、若いお母さんと小学生の息子さんが、朝顔の種を何袋か持って、何やら話をしています。
「学校で朝顔の種を持ってくるように言われたのですが、一般的な朝顔が咲く種はどれですか?」
「一般的…?」
「私もよく分からないんですが、一般的な朝顔を持ってくるようにって。」
そのお母さんが持っているのは大輪咲きと書いてあります。たぶん、大輪咲きではかわいいラッパの姿にはならない。べろーんと萎れたように咲く姿が想像できます。
「こっちの白い縞模様が入っているのはどうですか?これは大輪咲きではないようですよ。」
「線が入っていると、皆と違っていてよくないかも知れないので…。」
これで分かりました。お母さんにとって一般的な朝顔は、どうやら無地の中輪咲きのようです。
中心から放射状に白いラインが入る朝顔は、一般的ではない。それはクラスの中で浮いてしまう花になるかも知れない、とお母さんは心配している…。


今は学校で種や苗を準備してくれることが少なくなっているようで、週末になると、学校に持参するための野菜苗を選びにくる親子連れの方がいらっしゃいます。好きな野菜を選ぶ自由があって、今の学校って随分変わったな、と感じる反面、これでいいんだろうか、うちの子だけみんなと違うものを選んではいないだろうか、そんな親御さんの不安が強くあるのも感じます。自由だけれど、自由じゃない。自由が怖いのかな。


一般的な朝顔。それはきっと、西洋朝顔琉球朝顔ではない朝顔。学校はそう言いたかったのではないでしょうか。ラインが入っていようが、水玉模様だろうが(?)そんなことは指定していないはず。ただ、一般的な朝顔という言葉だけでは、分からない人には分からない。
結局そのお母さんと息子さんは、白い縁どりの朝顔の種を買って帰って行きました。



今年は昨年とは違う朝顔の種を蒔きましたが、なんと芽を出したのは8ポットのうち2ポットだったという、発芽率は驚きの25%(笑)。余っていた種を再度蒔き直しました。


それがもし我が家だったら、どんな朝顔の種を選んだだろうか。
「わぁ、これなんかいいんじゃない?白い線が入っててかわいいじゃん!」
「え〜でも線が入っててもいいのかな…?」
「みんなと違う花が咲くから面白いんだよ。大丈夫、浴衣の柄にもなってる昔からある朝顔だから、心配することはないよ。」
「うん、じゃあこれにする!」
たぶんこんな流れになると思う。私が誘導している感はありますが、私は皆と同じじゃなきゃいけない、という考えはないの。日本朝顔なら良し。つまらないことは考えない。
まだまだ多様性が叫ばれ始めたばかりのこの国、目には見えない縛りが、皆の心の中にはあるんだな。