山田ガーデン

花や葉から、種まきから球根から。心地よい庭を作り上げる喜び。庭作りから学ぼう。

西洋のエノコログサ~ラグラス オバタス


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ビバーナム オノンタガの鉢が騒がしい。鉢主のことではなく、その株元。朝は氷点下の気温が続いているというのに、青々とした葉が根元から四方八方に伸びています。

一見雑草にしか見えませんが、実はこれ、ラグラス オバタス。バニーテールとも呼ばれる、ウサギのしっぽのようなかわいい穂が特徴のオーナメンタルグラスです。

通常サイズと矮性サイズがあり、山田ガーデンのラグラスは通常サイズなので、膝丈ほどに大きくなります。

 


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この穂をちょん、と切り取り土に埋めておくだけで、必ず芽を出してくれます。

穂を楽しむグラス類はほとんどが一年草で、冬には枯れてしまいますが、このひと手間で春へと命を繋ぐことができます。ま、西洋のエノコログサ (ねこじゃらし) を大切に育てている日本のおかしな人って感じでしょうか(笑)。

 


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秋近いある日の写真。近所で撮ったエノコログサです。やっぱり好きなんだわね、エノコログサが。

ここはアスファルトで舗装されてしまったので、もう同じ風景は二度と見られません。

 

 

雑草は季節の移り変わりを教えてくれる、大切なバロメーター。海の向こうの庭でも、元気に伸び出したエノコログサを見守るガーデナーがいるかも知れません。

春はもうすぐです。

 

 

 

 

 

 

雪景色

 

庭のこと、子供たちのこと、仕事のこと、家事のこと、天気のこと、愛犬きなこのこと、これからの自分のこと。

 

 

毎日考えること、しなきゃいけないことがたくさん。忙しいのは出産して仕事を再開した時から私の一部になっていて、それは「苦労を自分から背負いこんでいる」と見える程なのだそうです。

たとえそう見えるとしても、本人が毎日楽しいと思えればいいことです。ぐうたらと生きているよりはいい。そもそも物事の尺度が異なる人にどう言われようが気にすることじゃあない。生きてきた時代が違う。時が止まっているあなた方とは、私は違うのよ。

 


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久しぶりの真っ白な景色が、溜まっていたモヤモヤをリセットしてくれました。雪は夜半頃も降り続いて、一体何時に止んだのかな?雪景色ってやっぱり素敵です。

 


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暖かな1日になりそうなので、降り積もった雪を払い落とす必要もなさそう。今日はマスカットの剪定と誘引をすることに決めました。

昨年は外構フェンスに長く長くつるを伸ばしましたが、実がなると針金が外れてしまうほど重みが増すため、今年は短めにカットするつもりです。

 



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少し前のこと、枯れてしまったシャクナゲの株を撤去しようと軽く引っ張り上げたら、根元からごっそり抜けました。内部はスカスカで、かなり古い木だったようです。このシャクナゲがなくなったので、マスカットの誘引がしやすくなりました。

 

 

自己肯定。なかなか難しくて私にはできませんでした。「そのままでいいんだよ」なんて言われたこともありません。もっとこうしなきゃ、あぁしなきゃ、って自分を奮い立たせながら生きてきました。

いつも何かを考えて、探している。行き着く先は何処なのかも解らないけれど。何処かに行き着けるのかも解らないけれど。

それでいいんだよね。それが私の人生。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真冬に鉢増し~クリスマスローズ

 


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2月の枯れ庭。こんな庭の中でも球根はみずみずしい芽を出し、春の訪れが近いことを感じさせます。

早くも私の気持ちはうずうず。つるバラの誘引を始めた辺りから、既にヤル気MAX状態です。明日は雪の予報なので、はやる気持ちを抑えて。ゆっくりと春に向けて活動開始です。

 

 

山田ガーデンで  、唯一この時期が成長期なのがクリスマスローズ。ふっくらとしたピンクの蕾が少しずつ大きくなってきている今日この頃です。

 


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2018年3月

 

山田ガーデンのクリスマスローズ、ピンク色だと思っていたのですが、この本によるとローズ、つまり赤に近い分類とされています。ローズピンク、トルマリンレッド、アンバーローズといったところでしょうか。

クリスマスローズも花の形、咲き方、花弁の形、スポットやブロッチ(模様)の有無、色、ネクタリー(蜜線)の色、とにかくたくさんのタイプがあって、ページをめくる度に、ほおぉ…と溜息が出てしまいます(笑)。

 


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さて、ちょうど1年前に迎え入れたイエロー × 赤スポットの小さなクリスマスローズ。根元には新しい芽が出てはいますが、大きくなってもいい頃合いなのに株の大きさに変化がないので、一回り大きな鉢に植え替えをすることにしました。

 


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鉢から抜いてみると、もう根が回りすぎている!これじゃあ大きくなれないよね。ごめんね…

優しくほぐして植え付けます。

 


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数日後に肥料を与える予定です。冬に植え替えなんてあり得ない?いやいやクリスマスローズだからこそ出来るのです。

昨年は真冬に買った黒花のクリスマスローズを地植えにしましたが、何の心配もありませんでした。だって今が成長期ですもの、恐れずにやってみるべし。

 

 

 

 

 

 

芽出し球根の植え付け〜より自然な姿で咲かせる方法

 


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山田ガーデンの住む北関東は本当に寒い。豪雪地域とはまた違った、乾燥して刺さるような寒さ、なのだそう。

毎朝の平均は-4℃で、-6℃になると給湯器からお湯が出なくなります(泣)。

なのでひどく冷える予報が出ると、一晩中水道の蛇口をゆるめて、ポタポタと水を垂らしておくという、ちょっと昭和っぽい対策をしておかなくてはなりません。

庭にもマルチングをしなければ、こぼれ種から芽を出したセリンセは生き残れません。オルラヤは結構寒さに強いので、大丈夫ですけれども。

 

 

先日ホームセンターで見つけてしまった芽出し球根。そろそろ庭に植えないと…

仕事から帰宅し、部屋の中でコーヒーを飲みながら、どこへ植えようかしらとイメージしたりはしていたのですが、やっぱりそれらを手に持って実際に庭をうろうろしながら決めたほうがしっくりくるので、ちょっと植え付けるまでに時間が経ってしまいました。

 

 

私が絶対にしない球根の植え方、それは "等間隔" です。学校の花壇によく見る、ぽつぽつと等間隔に植えること、あれは不自然な植え方だと感じますが、なぜ皆さんやるのかな?自然界に等間隔は存在しないから、私は絶対にその植え方はしません。球根は出来るだけぎゅっとまとめて植えます。

 


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あたかも自然な姿に見えませんか?球根が分球して増えたような感じ。球根はぎゅっとまとめて植えると魅力が増します。植物が違和感なく庭に溶け込むよう、作り込むことに重点をおいています。

 


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今回、ミニアイリスはテマリシモツケ サマーワインの株元に、クロッカスはブロックの端に、それぞれぎゅっとまとめて植え付けました。

並びは等間隔にはせず、あくまでも自然に、です。

 

クロッカスは何年も植えっぱなしにしても、ちゃんと咲いてくれるので、本当に貴重な球根植物です。ミニアイリスはどうかな?初めての花が待ち遠しい!

 

 

 

 

 

 

ER チャールズ ダーウィンを迎え入れる

 

イングリッシュローズの魅力を世界に広めたデビッド オースチンさんが年末にお亡くなりになり、これからイングリッシュローズも次の新しい時代に突入してゆくのだなぁとしんみりとしたのはつい最近のこと。これを機にERを再び迎え入れようと考えていました。 

 

 

私が育てているERはアブラハム ダービーだけ。以前育てていた小さな小輪咲きのスノー グースは植えつけてからたったの3カ月で急に枯れてしまい、それからは恐くてERには手を出せなくなってしまいました。同じことを再び繰り返したくはないという心理が働くのは当たり前のことでしょう。たった1度しか花を見ることが出来なかったショック、それは期待も決して安くはないお金も、全てが粉々になってしまった出来事でした。

 

もう何年も前の話だし、そろそろ再び…デビッドさんが亡くなったことを知り、いつか育ててみたかったバラを選んで来ました。

 


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新品種ではなく、もう手に入らなくなるかも知れない、2001年に作出されたチャールズ ダーウィンです。昨年もお店の片隅にあったものが売れていなかったのは、傷んだラベルからも判ります。

好きだったけれど迎え入れなかったのは、我が家の外壁が黄色なので色味が被ってしまうから。でもそれは何かしら工夫すればいいだけのこと。

 

 

子供たちが小さかった頃に一緒に観ていたアニメ "おかしなガムボール ( the amazing world of Gumball )" に出てくる金魚の名もダーウィン。このアニメは、アニメと実写が入り交じるというなんとも斬新な手法で製作されていて、海外では幾つかの賞を受賞していたりと、内容はさておきとても興味深い作りになっています。

死んだと勘違いされてトイレに流され、海まで出てしまったダーウィンは、エラ呼吸から肺呼吸へ、そして足が生え…進化をしながら大好きな親友ガムボールの元へと長い長い旅をします。

 

チャールズ ダーウィンは言わずとも知れた生物の進化論を発表した研究者。神様が生物を作った論が信じられていた世の中での発表は、それは簡単には受け入れられなかったと想像できます。

今こうして植物の品種改良が進み、ガーデナーを楽しませてくれるのは、ダーウィンがそれに気付いてくれたから。

 

 

春に大輪を愛でることができるように頑張ります。

 

 

 

 

 

 

2年目の誘引~バレリーナ

 

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1月29日現在のつるバラ バレリーナ。大きくなったでしょう?細く柔らかな枝を大きく伸ばし、ウッドフェンスからはみ出す程になりました。

ちなみに左から、四角のテラコッタ鉢はスタンダードのピエール、隣はオールドローズルイ14世、そしてバレリーナにヒメコブシの小さな木。よく山田ガーデンに登場する植物たちです。

 


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今年の冬は暖かいからか、早くも陽の当たる新芽が動き出しています。陽があまり当たらない場所に植えてあるにもかかわらず、バレリーナは芽が動く時期が比較的早いです。バレリーナに限らず今年の春も早くバラが開花する予感がしますね。

 


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2017年の春前に植え付け、10月にはこんな風に伸びた枝を誘引しました。2018年の年明けはこのままの姿で誘引はせず、花後のシュートは麻紐で軽く押さえつつ、枝を固定する位置をずらして現在に至ります。

とんでもない所から出たシュートは1~2本バッサリ切ったりもしました。

 

 


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細く柔らかな枝は誘引が楽なのですが、唯一悩ましいのは、四方八方に枝分かれして伸びた枝たち。これを平面にどう押さえ込むか、どうしたもんかな。

 


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取り敢えず大切にしたい中心部の枝から決めてゆこう。木ネジを板に半分程ねじ込み、枝をできるだけ水平に倒しながら、枝と木ネジを麻紐で縛り固定してゆきます。

釘ではなく木ネジを使う理由。麻紐を釘に縛り付けようとすると、つるりと外れてしまうから。平面に押さえ込んだ枝には結構テンションがかかっているので、木ネジならば、ねじ切ってある部分に麻紐をしっかり縛り付けることが出来ます。

 


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そう言えば、つるバラの誘引に便利だと思っていたスッポンフック、あれはダメですね。火で炙って接着する強力なハズの接着剤が、テンションが掛かるとフックと分離してしまい、使い物になりません。もう二度と買わない。

 


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伸びたつるから出た枝、ここから春に芽が伸びて花を付けます。板側の枝は根元からキレイに切り落とし、他は1~2芽残しておきます。




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あれこれ考えながら約2時間で作業終了。大きな変化はつけませんでしたが、お昼を過ぎ、すっかり日陰になってしまって寒かったです。

四方八方に伸びたシュートの先は少し枝を切り落とし、立体的なのも面白いのでそのままに残すことにしました。自然にぷらんぷらんさせて、さらにサイドシュートが伸びたら、窓の回りにぐるりと誘引します。

 


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さぁ、今年はどんな風景を作ってくれるかな。

 

 

 

 

 

 

恵みの雪

 


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数日前から関東に雪が降るかも?なんて天気予報が騒ぎ出したので、いよいよ待ちに待った雨降り、または雪か!? と、ワクワクしていました。予報通り、昨日の夕方から雨が降り出しひと安心。1カ月以上振りの降水です。

朝、愛犬きなこと散歩に出ても、霜柱が全く立っていなかったんですね。乾燥しすぎて、土に水分がないから。

朝起きたら、まるでシュガーパウダーを振ったように、薄く雪が積もっていました。

 


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休みの度に庭に水を撒き、それ以外の時も家族に頼んだりして、乾燥を防いできました。冬は水遣りが難しく、土が凍れば植物の根を痛めてしまいますし、冬だからと水遣りを控えれば水切れを起こしてしまいます。私は冬に植物を枯らしてしまったことが多々あるので、今年は気をつけてはいるのですが、既になんだか危ないものもあるのよね。

 

 

 

 

 

 

球根たちの目覚め

 

春に花を咲かせる球根はヒヤシンス、ムスカリスイセンと数々ありますが、私の中での王様の位置付けは、やっぱりチューリップ。

その昔、ヨーロッパの貴族たちがこぞって手に入れたがったということからも、魅力的な花なのだと解ります。

そんなチューリップたちが、山田ガーデンのあちらこちらで動き始めました。

 


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何をどこへ植えたのか、名札を立てておかなかったので、すっかり忘れてしまいました。どこかヌケていて困ったものです。

 


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これはムスカリ。おそらく。

 


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クロッカス ジャンヌダルクも芽を出しました!余談ですが、山田の息子はJanne Da Arcという日本のバンドが大好き。声変わりしてからというもの、CDに合わせて全く歌えなくなってしまったことを嘆いています。

 

 

ようやくやって来た休日に、愛犬きなこ用のお肉の缶詰をホームセンターに買いに行き、そこで見つけてしまったのは芽出し球根。その名の通り、芽が出た状態の球根がビニルポットに植えつけて売られているものです。

売り場でポットを手に取ってびっくり!冷たくて、カチンコチン…寒さで土が完全に凍っているのです。売り場が日陰なのだから、夜は不織布くらい掛けてあげればいいのに、なぜそのひと手間が出来ないのか…

でも欲しい種類がたくさんあったし、安かったので買ってきました。

 


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1番外側の花弁に縞模様の入るクロッカス ドロシーや、

 


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1番外側の花弁が紫のクロッカス プリンスクラウス

この "外側だけ" というところが洒落ているではないですか。

 


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ミニアイリスも植えてみたいと思っていたので、迷わず買い求めました。芽出し球根を買うのは初めて。これなら秋に買い忘れても充分開花に間に合いますね。

普段はじっと土の中にいる球根って、こんな風に力強く芽を伸ばしているんだな。なんだか元気をもらえた気がします。

 


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山田ガーデンには例のスノードロップがふっくらと花弁を膨らませて。

 


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別の球根からも芽が伸びてきています。

どんなに寒くても、あるものは土の中で、あるものはロゼット状に葉を広げ、そしてあるものはごくわずかでも芽を伸ばしながら、冬を生きています。実はガーデニングには365日休みはないのだ、と改めて思った1日でした。

 

 

 

 

 

 

思い出のサイネリア

 


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昨年、息子が卒業祝いで下級生から贈られたサイネリア。夏を越し、間もなく咲きそうな1月22日。

 


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私、1年でダメになってしまうのだろうと思っていたのです。花後に短く切り詰めて、庭の隅に置いていたところ、再び元気な葉を伸ばし始めたのでした。

今まで1度もサイネリアを買ったことはありません。だからあなたのこと、何も知りませんでした。実は水がすごく好きで、水切れするとすぐに葉がしおしおになってしまうこととか。

 


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もらった時ほど蕾は多くはありませんが、復活するとも思っていなかったので、喜びはひとしおです。

 


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雪が飛んできた日がありましたが、それでも乾燥注意報は出たままです。窓辺で鮮やかな紫の花弁が開き始めました。

 

 

プラ鉢の側面には、下級生からの手書きのメッセージカードをそのままに張り付けてあります。あまり好きではなかった小学校からの贈り物。その花がまた元気に咲こうとしています。それを息子はどう思っているのでしょう。

 

 

 

 

 

 

農作物の"売り方" を考える

 

イチゴ農園にショッキングな情報が飛び込んできました。町の農協の抜き打ち検査で、イチゴから残留農薬が検出されたのです。

山田ガーデンが働いているイチゴ農園は農協に入っていません。園主さんは独自にグループを作り、販路を確立して頑張っています。しかし同じ町で栽培していることから、風評被害が少なからずあるだろうとのことでした。

 

 

昔から農業を生業としているほとんどの農家さんは、農業共同組合に加入しています。資金の調達から資材の購入、収穫した農作物の販売まで、全て農協がバックアップしてくれます。

喜びは皆で分かち合う。でもリスクもある。たった1件の農家さんがミスを犯したら、皆で責任を背負わなくてはならないこともあります。

今回の件では、食べても人体には影響がなく、幸いなことに残留農薬が検出された農園が特定されているため、組合員全てのイチゴが出荷停止にはなりませんでした。もし全ての組合員のイチゴを検査しなければならないとしたら、とてつもない日数が掛かることは想像できます。もちろんその間、出荷出来ない状況でもイチゴの成長は止まりません。

 

 

農協を通して出荷する農作物は、規格が決められていることを皆さんご存知でしょうか?イチゴで言うと、サイズと色に決まりがあるのだそうです。そのサイズに合わせるため、実は少し早めに収穫しているということになります。


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丁寧に大切に完熟するまで育てると、掌ほどにもなる大きなイチゴを作ることもできるのです。

しかし農協の規格にならえば、こんなに立派でびっくりするくらい甘いのに、規格外。とても残念なことです。

私が働く農園の園主さんは、その縛りが嫌なのです。自分たちが自信を持って作ったものは自分たちで売る。農協のバックアップはありませんので、もちろん大変な部分もあるようです。私は、一生懸命さが伝わってきた園主さんのFacebookを読み、この農園で働くことを決めたのです。園主さんのやり方は従来の農業とは異なる新しいもの。 おもしろいではないですか。

 

 

こちらでは野菜の直売店舗が増えており、賑わいを見せています。スーパーでは決して見ることのできないスイスチャードやスティックセニョールなどの珍しい野菜にワクワクしてしまいます。

売店舗に作物を置くことができるのは、農協に加入していない農家さんたち。或いは趣味で野菜を育てている方たちです。

従来の農協を通した販売方法と並行して、新たな販売方法が確立しつつあります。新しい農業の幕開けです。

 

 

この記事を書き始めた時は、皆で責任を負わなくてはならない農協に加入する必要性ってあるのかな?そんな風に考えていたのですが、農協の批判になってしまいそうで、何度も書き直しました。

安全に私たちの食卓に農作物を届けてくれるのは、農協のお陰でもあります。新たに農業を始めたい方に手を貸してくれる、頼もしい存在でもあります。またまだ駆け出しの人間が、知りもしない農協のことをあーだこーだと言う資格もありません。

農協に加入するメリット、加入しないメリット、それぞれのリスク。どう決めたとしても、美味しい農作物を届けたいという気持ちは同じ。

日本の農業がこれからどう変わって行くのか、とても興味があります。