山田ガーデン

花や葉から、種まきから球根から。心地よい庭を作り上げる喜び。庭作りから学ぼう。

農作物の"売り方" を考える

 

イチゴ農園にショッキングな情報が飛び込んできました。町の農協の抜き打ち検査で、イチゴから残留農薬が検出されたのです。

山田ガーデンが働いているイチゴ農園は農協に入っていません。園主さんは独自にグループを作り、販路を確立して頑張っています。しかし同じ町で栽培していることから、風評被害が少なからずあるだろうとのことでした。

 

 

昔から農業を生業としているほとんどの農家さんは、農業共同組合に加入しています。資金の調達から資材の購入、収穫した農作物の販売まで、全て農協がバックアップしてくれます。

喜びは皆で分かち合う。でもリスクもある。たった1件の農家さんがミスを犯したら、皆で責任を背負わなくてはならないこともあります。

今回の件では、食べても人体には影響がなく、幸いなことに残留農薬が検出された農園が特定されているため、組合員全てのイチゴが出荷停止にはなりませんでした。もし全ての組合員のイチゴを検査しなければならないとしたら、とてつもない日数が掛かることは想像できます。もちろんその間、出荷出来ない状況でもイチゴの成長は止まりません。

 

 

農協を通して出荷する農作物は、規格が決められていることを皆さんご存知でしょうか?イチゴで言うと、サイズと色に決まりがあるのだそうです。そのサイズに合わせるため、実は少し早めに収穫しているということになります。


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丁寧に大切に完熟するまで育てると、掌ほどにもなる大きなイチゴを作ることもできるのです。

しかし農協の規格にならえば、こんなに立派でびっくりするくらい甘いのに、規格外。とても残念なことです。

私が働く農園の園主さんは、その縛りが嫌なのです。自分たちが自信を持って作ったものは自分たちで売る。農協のバックアップはありませんので、もちろん大変な部分もあるようです。私は、一生懸命さが伝わってきた園主さんのFacebookを読み、この農園で働くことを決めたのです。園主さんのやり方は従来の農業とは異なる新しいもの。 おもしろいではないですか。

 

 

こちらでは野菜の直売店舗が増えており、賑わいを見せています。スーパーでは決して見ることのできないスイスチャードやスティックセニョールなどの珍しい野菜にワクワクしてしまいます。

売店舗に作物を置くことができるのは、農協に加入していない農家さんたち。或いは趣味で野菜を育てている方たちです。

従来の農協を通した販売方法と並行して、新たな販売方法が確立しつつあります。新しい農業の幕開けです。

 

 

この記事を書き始めた時は、皆で責任を負わなくてはならない農協に加入する必要性ってあるのかな?そんな風に考えていたのですが、農協の批判になってしまいそうで、何度も書き直しました。

安全に私たちの食卓に農作物を届けてくれるのは、農協のお陰でもあります。新たに農業を始めたい方に手を貸してくれる、頼もしい存在でもあります。またまだ駆け出しの人間が、知りもしない農協のことをあーだこーだと言う資格もありません。

農協に加入するメリット、加入しないメリット、それぞれのリスク。どう決めたとしても、美味しい農作物を届けたいという気持ちは同じ。

日本の農業がこれからどう変わって行くのか、とても興味があります。