山田ガーデン

花や葉から、種まきから球根から。心地よい庭を作り上げる喜び。庭作りから学ぼう。

完全な選択ミス〜目隠しに最適な常緑樹とは?


先日の休みに以前勤めていたお店に出掛けてきた話。植木鉢を買うのも目的だったけれど、それだけじゃなくて。結局シエルブリエと出会ってウキウキで帰って来たみたいな楽しい1日の日記みたいになってしまったけれど…

実は植栽に関するアドバイスを戴きに伺ったのでした。
私、週末に接客でやらかしてしまった。完全な選択ミスです。


ちょっと早く仕事を上がろう、と事務所でタイムカードを押した後に、サービスカウンターのスタッフから「ちょっと来てもらえる?」と呼び出しが。50代位の女性のお客様がお待ちでした。
「お風呂場の窓の外、北の方角に目隠しとして常緑の木を植えたいのだけれど、どんな木がありますか?」お客様はすぐに持って買って帰りたいとおっしゃっていました。
常緑で大きめの庭木は、店にはあまり置いていません。オリーブは剪定が大変だし、枝が大きく伸びるシマトネリコでは目隠しにならないか…しかもウチにはないし。キンモクセイは程度が良くない。
瞬時にぐるぐると考え、確か入荷したてのサザンカがあったことを覚えていたので、それをお勧めしました。
暗い屋外の売り場でゴソゴソと何本かを取り出して見ていただき、花がかわいい "朝倉" という品種を勧めました。背丈は180cmくらい。外灯の光で艶々の葉が光り、女性らしい柔らかな色の素敵な花がすでに数輪開いていて、その他にも蕾をたくさん付けた良い株でした。
お客様は「ではこれにします」と車の助手席に載せ、帰って行かれました。
その時はまだ、自分がミスをしたことを分かっていませんでした。


帰宅後、主人にその話をすると、「それはどうかな」と言います。
「だって花が咲いちゃったら、余計にそこに目がいっちゃうじゃん。」
ここで初めて気が付きました。サザンカは目隠しには不向きだったということに…。

ならば目隠しにはどんな木が適しているのか?実際庭のデザインをしている方はどんな木を選んでいるのか?それで以前勤めていたお店に行ってみよう、と。社長ならアドバイスをくださるだろうと思ったからです。


社長は変わらず元気そうで、「お、お、お、誰かと思ったら~」とニコニコ笑顔でした。お店で元気そうに働いているのを見たよ、声は掛けなかったけどね、と嬉しいお言葉。
さっそく上記の件について、話を聞いてもらいました。

「目隠しの常緑樹は、お客様にはよく言われる要望で、実は一番難しい話なんだよね。」
社長なら、どんな木を選びますか?と訊ねると、「私ならソヨゴ。これしかないよ。」
#pinterestより

シマトネリコはいつもパラパラと葉が落ちるし、すぐに大きくなりすぎるから勧めない。伐採の要望が何件もあったからね。
キンモクセイもオレンジ色の花が目立ちすぎるから、それならギンモクセイを選ぶ。キンモクセイに比べたら花もおとなしいし、香りもマイルド。
サザンカ・ツバキはチャドクガが心配。あれは体がかすっただけでひどくかぶれるから、春と秋の2回は必ず消毒できる人にしか勧められない。
ソヨゴは小さい苗木はどうにも役に立たないけれど、180cmあれば充分に役目を果たしてくれる。
サザンカはやっぱり花が派手だから、選ぶなら一重の白かなぁ。え?素敵な花が咲く品種を選んじゃったの?皆喜んで眺めちゃうねぇ。
樹木選びは難しいよね!


花の目立たない常緑樹はなんだか寂しい気がして、興味がありませんでした。植えたいと思ったことがないのです。
サザンカは1年の殆どは葉だけの姿ですが、これからの時期、どんどん賑やかな花が咲いてしまいます。逆に人目を引いてしまうでしょう。
チャドクガのことは事前にお客様には伝えましたが、そもそもそんなリスクがある木を選んじゃいけなかったんだ。樹木に関する知識が乏しいことを痛感しました。